Sleep Styles は、従業員の生産性を高めたい、メンタル対策を進めたい、社内や業務内の事故リスクを低減したいという企業へ、そのためのソリューションを提供しています。帝人では社内で希望者を募り、以下の実証方法で睡眠力向上プログラムを用いたパイロット実証を行いました。
実証方法
実施フロー
実証結果のうち、アテネ不眠尺度について評価を実施。アテネ不眠尺度とは、WHOが中心となり設立した、睡眠と健康に関する世界プロジェクトが作成した、世界共通の不眠傾向を示す指標。
対象者の81%が睡眠に関して課題を感じていることがわかり、医師に相談することを勧めるレベルの人が28%にも及びました。
その後、睡眠力向上プログラムを実施し、プログラム完了の8週間後の状態を調べました。結果、睡眠に関して課題を感じている対象者が実施前の81%から59%に、特に医師に相談することを勧めるレベルの人が28%から6%と大きく改善することが示され、睡眠感の分布において有意なデータを実証しました。
睡眠感が変化した最大の要因は、睡眠習慣が変化したことにあります。では睡眠習慣はどのように変化したのでしょうか。下記のデータでは、睡眠習慣の変化を示しています。
睡眠力向上とは、具体的にどのような指標を算出するのが良いか。睡眠時間、入眠潜時、睡眠効率は、数字で挙げることができる指標であり、睡眠習慣を可視化する上では大きな要素となる。
以下のグラフは対象者54名の睡眠習慣に関する回答結果を平均化したものである。睡眠習慣を可視化することで各自の睡眠への関心が高まり、生活習慣の改善に繋がっことが見て取れるデータとなった。
睡眠時間
実際に眠りについている時間です。個人差はありますが、通常7時間ほどの睡眠が必要と言われています。
睡眠力向上メソッドを実施することで睡眠の重要性に気づき、睡眠時間を多くとるようになりました。
入眠潜時
ベッドに入ってから実際に眠りにつくまでの時間です。一般的に、健康的な成人の入眠潜時は10分~20分と言われています。
睡眠力向上メソッドを実施することで、ベッドに入る前の行動などにより、寝つくまでの時間が短くなるという良い方向へ変化しました。
睡眠効率
ベッドに入っている時間から、実際に眠っている時間の比率を指します。中途覚醒が少なく、高い比率が良いとされています。
睡眠力向上メソッドを実施することで、ベッドに入ってからの行動の変化により、睡眠効率が高まる傾向が確認できました。
対象者の心の健康度を示す指標である、K6の評価も合わせて行いました。K6とは、米国の Kessler らによって作られた、心の健康度を簡易的に測定するために作られた指標として、広く利用されています。点数が低いほど健康状態にあることを示しています。
睡眠と心の健康は密接な関係があると言われています。今回、睡眠の質が良くなったことで、心の健康度にも有意に良好な変化が見られました。
新職業性ストレス簡易調査の結果も以下に示します。仕事への意欲を簡易に測定するために作られた指標、点数が高いほど、仕事への意欲が高いことを示しています。
睡眠は、従業員のいきいき指数にも有意な変化を与えていることがわかっています。
具体的には、イライラやストレスといったココロの状態、疲労や身体愁訴といったカラダの状態、ワークエンゲージメントや創造性といったパフォーマンスの状態、いずれも有意に良化する傾向が確認できました。
このように、睡眠力向上プログラムを実施することで、睡眠習慣を見直し整えることで睡眠主観が変わり、結果としてメンタル状態や健康状態、パフォーマンスが良化していくことが期待できると考えられます。