睡眠学研究レポート

【ベストな睡眠時間とは】短眠型・長眠型の眠りと性格の違い

短眠型と長眠型

適切な睡眠時間は個人や状況によってさまざまです。睡眠時間の平均は7.5時間前後ですが、人によっては6時間以下で十分という「短眠型(ショートスリーパー)」と、9時間以上眠らないと寝た気がしないという「長眠型(ロングスリーパー)」の人がいます。

歴史に名高い短眠者といえば、世界的にはナポレオン(4時間睡眠)、日本では森鴎外(2時間睡眠)が知られています。一方、長眠者の代表はアインシュタインで、1日10時間は睡眠時間をとっていたそうです。

 

短眠型と長眠型の眠りの違い

下図は、睡眠時間が6時間の短眠型、9時間の長眠型、7.5時間の平均睡眠者の一夜の睡眠中の睡眠段階を比べたものです。

短眠型、長眠型、対照群における睡眠段階出現時間の比較

短眠型、長眠型、対照群における睡眠段階出現時間の比較(福田ら、1984)

 

深い眠り=ノンレム睡眠(段階3、4)の長さは三者とも変わりません。つまり、長く眠っても深い眠りが増えるわけではないのです。このことから短眠型の睡眠はコンパクトで効率のいい睡眠といえます。

 

睡眠時間は削ることが可能

睡眠時間の個人差は体質なども関係しますが、ライフスタイルによってある程度調整可能とされています。

かつてアメリカで行われた実践研究では、平均的な睡眠時間だった夫婦が睡眠時間を6時間以下に短縮しても、とくに作業成績や心理テストに問題となるような影響は出ませんでした。さらに終了後の追跡調査では、彼らが引き続き6時間睡眠のライフスタイルを継続していることが確認されています。この実験により、睡眠時間が多少短くなっても、生活には支障がないということが分かりました。

ただ、睡眠時間を短くすることによって寝覚めがスッキリしない、寝足りないなど睡眠自体への不満は感じてしまうこともあるようです。その後の研究では、「無理なく短縮できる限界は6時間」といわれています。

 

睡眠時間は性格によって変わる?

短眠型の人と長眠型では、性格に違いがあるという研究報告があります。

「短眠型は外向的で活動性に富み、精力的に仕事をこなす野心家。細かいことには無頓着で、おおらかな行動傾向が特徴です」

「長眠型は創造的である反面、内向的で非社交的で神経質。抑うつ的で不安傾向が強く、社会的適応性が低いという傾向にある」

この違いは、長眠型のレム睡眠が非常に長いことと関係するようです。長眠者は心理的ストレスを解消するため、レム睡眠を長くとる必要があるのではと考えられています。

 

最適な睡眠時間は年齢によっても変わる

新生児は短時間睡眠を繰り返しますが、1年ほど経つと夜間にまとまった睡眠をとるようになり、昼寝の回数、長さともに減っていきます。そして6歳を過ぎると夜に1度だけ睡眠をとるようになります。やがて老年期になると、再び昼寝が習慣的になります。このことから分かるのは、睡眠の理想型は年齢によって変化するということです。

働き盛りの若い世代は、本来必要な睡眠時間を十分確保できない場合が多くあります。昼間の眠気をコントロールするために仮眠をとるなど工夫することもおすすめです。

 

睡眠時間が極端になると死亡率が上がる?

アメリカのがん学会が30歳以上の成人100万人を対象に睡眠調査を行ったところ、睡眠時間が平均的な7~8時間の人の死亡率がもっとも低く、それより睡眠時間が長くまたは短くなると死亡率が高くなるという結果が出ています。

睡眠時間と6年間における死亡率の関係

睡眠時間と6年間における死亡率の関係(クリプケら、1979)

 

しかし、これは病気の症状によって不眠や睡眠過剰などの障害が起きていることが考えられ、一概に極端な睡眠時間=死亡率の上昇につなげることはできません。

睡眠時間にとらわれる必要はありませんが、極端に睡眠時間が長かったり短かったりする人は、一度生活習慣の見直しをしてみてもよいでしょう

 

参考図書:
『楽眠のすすめ』(竹書房)著/有富良二

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