睡眠学研究レポート

「マインドフルネス」な呼吸法で、心地よく眠りに就こう!

毎日が気忙しく、いつも何かに追われているような気がしてあせってしまう。

何につけても不安に感じることが多く、毎日を穏やかに過ごすことができない――。

もしこのような思いが募り、疲れやすさや眠りにくさにつながっているのかもと感じられることがあるなら、そのあせりや不安の気持ちから少し距離を置く方法を試みる必要があるのかもしれません。

そのヒントの一つに、「マインドフルネス」があります。マインドフルネスには、さまざまな定義があります。

簡単にお伝えすると、「今、この瞬間」に生じている心の動きや体験などに気づき、それらを評価せずに観察できる状態のことを意味します。

「マインドフルネス」を実践する人が増えている理由

マインドフルネスは、仏教やヨーガ、禅などを通じて東洋で広く行われてきた瞑想が、60年代のアメリカの文化と融合し、80年代から現在にかけて欧米を中心に発展することでできあがったアクティビティです。

マインドフルネス瞑想に宗教性はなく、誰でも気軽に取り組めます

マインドフルネスが有名になった背景の一つには、アメリカのGoogle社が2007年から社内で独自のマインドフルネス・プログラムを導入し、社員の意識やチームワーク、生産性が向上したと話題になったことがあります。

現在では個人のセルフケア方法として、またビジネス、教育、福祉などの領域ではメンタルヘルス対策の一環として、マインドフルネス瞑想を実践する人が増えています。

何気なく生活しているうちに、あせりや不安に振り回されていませんか?

そもそも私たちは、普段の生活の中で自分の心の動きや体験に気持ちを向けることなく、何気なく過ごしていることが多いものです。

そうしたなかで、たとえば「失敗したらどうしよう」「これから先もうまくいかないかもしれない」といったあせりや不安の感情が自分自身と同一化し、その思いにとらわれてしまうことが少なくありません。

特に時代の変化が速く、先の見えない現代では、こうした思いにとらわれる方が増えやすいものと思われます。

しかし、自分の心に生じているさまざまな感情や体験を自覚し、それらの動きを観察することができれば、一時の感情・体験にとらわれにくくなります。

つまり、自分の気持ちや体験に目を向けた状態=「マインドフル」な心の状態になることができれば、落ち着いて冷静に物事を受け止め、行動することができるようになるのではないかと思います。

マインドフルネスの「サマタ瞑想」の呼吸法を試してみよう

では、マインドフルな心の状態になるためには、どのようなことを実践していけばよいのでしょう?

誰にでも取り組みやすい方法の一つに、「呼吸」という身体感覚に意識を一点集中するという方法があります

これは、マインドフルネスの瞑想方法の一つ、「サマタ瞑想」という方法です。「瞑想」といっても、難しく考えることはありません。

むしろ「呼吸法」と捉えた方が、気軽にとりくみやすいと思います。 リラックスできる場所に座り、自分の呼吸に意識を向けてみましょう。

軽く目を閉じて大きく息を吸いながらお腹を膨らませ、大きく息を吐きながらお腹をへこませます。

息を吸った時に大きくお腹が膨らむ感覚、へこむ感覚に意識を向けながら、気持ちよく呼吸を楽しみます。

このとき、「ひとーつ、ふたーつ」と呼吸の数を数えていくとよいと言われています。

「雑念」にとらわれずに、再び呼吸に意識を戻す

こうして呼吸に意識を向けていると、必ずと言っていいほど「雑念」が湧いてきます。

「そういえば、あの仕事はどうなっているだろう?」「友人に○○と言ってしまったが、彼を傷つけただろうか?」といったような思いが、心の中にふと浮かんでくるかもしれません。

こうしたときには、それらの雑念を自覚しながらも、それについて考え続けずに、再び呼吸に意識を戻していきます

このようにして、湧いてくる雑念にとらわれることなく、意識を呼吸に一点集中させていくのがサマタ瞑想のポイントです。

この呼吸を3~5分くらい続けていると、心地よく気持ちがリラックスして、眠気がさしてきます。安眠を得たい方は、このくらいの時間で切り上げるとよいでしょう。

ちなみに10分以上この瞑想を続けると、血圧が上昇し、意識が覚醒して集中力が向上すると言われています。

せわしない日常にこそ、お勧めしたい「プチ瞑想」の時間

さまざまな雑念にとらわれて安心した眠りが得にくいと感じるような時には、その都度、雑念から「今、この瞬間」の呼吸へと意識を戻しながら、呼吸の数を数えていきましょう。

実際に、眠れない夜には「羊が一匹、羊が二匹…」と羊の数を数えるとよい、とよく言われてきましたよね。

同じように、眠れなくなった時にはゆっくりと自分の呼吸の数を数えていくと、自然に眠気が訪れるものと思います

自分のこころに浮かんでくる雑念から距離を置いて、「今、この瞬間」の呼吸に意識を向けることができれば、ストレスの多い毎日でもそれらに振り回されずに、穏やかな自分を保ちながら生活していくことができるものと思います。

photo:Getty Images

大美賀 直子

執筆

精神保健福祉士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大美賀 直子

早稲田大学教育学部を卒業後、出版社やIT関連企業に在籍し心身の健康等の編集の仕事に携わり、独立。メンタル領域専門のコラムニストとして、ストレスや心の健康、対人関係、モチベーション等に関する執筆活動、講演活動を行う。同時に心理カウンセラー、研修講師としても活動し、メンタルヘルス支援企業「(株)ハートセラピー」に所属。法人向け研修、労働者や大学生へのカウンセリングを行っている。雑誌・新聞等メディアへの出演も多く、著書多数。『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』(さくら舎)、『なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか?』(明日香出版社)などの書籍を出版している。

(株)ハートセラピー

Site: http://www.heart-t.co.jp/

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