子どもの睡眠障害が社会問題化
部活や塾、深夜まで及ぶ受験勉強、SNSやゲームなど、「24時間型社会」「夜型社会」の弊害が、子どもたちにも影響を及ぼしています。
子どものころから夜型の生活習慣が身についてしまうと、睡眠不足が慢性化してしまい「睡眠不足症候群」をもたらすことに。
その結果、生活のリズムが狂って朝起きられず、学校に通うことができなくなり、やがては不登校につながるケースも少なくありません。
2014年の文部科学省の調査によると、全国で12万人に上る不登校の子どものうち、3人に1人は「睡眠などの生活の乱れ」がきっかけだといいます。
とくに、その傾向は都市部で暮らす子どもに強く、小学校高学年頃から夜型生活へ移行するケースが多いようです。
持病が招く睡眠障害
生活習慣や生活環境が原因となるほかに、子どもが抱える持病が睡眠障害を招くこともあります。
アトピーや喘息、アレルギー性鼻炎を持つ子どもたちは、寝ている間に持病の症状で目が覚めることが多く、睡眠が分断されやすくなります。
質の良い深い睡眠が十分に得られない場合、睡眠時間が不足する状態に陥ります。
子ども特有の睡眠障害
通常は小児期から始まり、青年期までに消失することが多い子ども特有の睡眠障害もあります。代表的なものは、以下の3つです。
・睡眠時遊行症(夢中遊行症・ねぼけ)
・睡眠時驚愕症(夜驚症)
・睡眠時遺尿症(夜尿症・おねしょ)
子どもの睡眠不足が招く影響
子どもの睡眠障害は成長ホルモンの分泌が抑えられてしまい、発育が遅れることにもつながりかねません。
さらに睡眠障害が慢性化すると、肥満、生活習慣病、うつ病などの発生率が高まり、すでに発症している症状を悪化させてしまう可能性があります。
子どもの睡眠不足を防ぐには
大人と違い、子どもは生活リズムに問題があることに本人が気づきにくく、問題が深刻になってから発見されることも少なくありません。
まずは周囲の大人たちが生活リズムにしっかり気を配り、把握しておくことが重要です。
また、母親の就労時間の長さも子どもの睡眠へ影響することが分かっています。親のライフスタイルが子どもの睡眠へ多大な影響を与えることも、意識しておくことが必要です。
参考サイト:
NHKクローズアップ現代「不登校12万人のかげで~広がる子どもの睡眠障害~」
厚生労働省e-ヘルスネット「休養・こころの健康『子どもの睡眠』」
参考図書:『睡眠障害国際分類第2版(ICSD-2)』(医学書院)発行:日本睡眠学会
『睡眠障害診療ガイド』(文光堂)日本睡眠学会認定委員会ワーキンググループ監修