睡眠学研究レポート

大人も寝る前の絵本で安眠を。「秋の夜長」をリラックスして過ごそう

日差しの強い9月頃までは、紫外線や暑さから身を守るために、日中の外出を控えたくなってしまうもの。その分、暑さの落ち着く夕方ごろから街に繰り出し、夜半まで外で過ごしていた方は多かったかもしれません。

一方、ひんやりとした秋風が吹くころになると、ゆっくりと部屋で過ごす時間を大切したいという方が増えていくものと思います。

 

夜風の涼しい10月は、「秋の夜長」を家で楽しみたくなる季節

部屋の中でゆっくり過ごすと心身ともにリラックスし、溜まった疲れをほぐすことができるでしょう。しかし、夜の過ごし方を間違うと、神経が高ぶり心地よい眠りを得られにくくなってしまうことがあります

 

寝る前のスマホやゲームが安眠の妨げになる

たとえば、夜中まで気分が興奮するようなエンターテイメントや、欲望が刺激されるような情報に長時間夢中になること。

特に、夜間にスマートフォンやゲーム、パソコンから発せられるブルーライトを見つめながら長時間過ごしていると、眠りの質は確実に悪化してしまいます

強いブルーライトを見つめると、眠気を起こすメラトニンというホルモンの分泌が抑制され、脳が覚醒してしまうのです。すると、夜半を超えても眠気が訪れず、睡眠リズムに乱れが生じてしまいます。その結果、深い睡眠がとれないまま朝を迎え、頭がぼーっとして日中の活動に集中ができなくなってしまいます。

こうした悪影響を避けるため、寝る前には脳が興奮するような情報にさらされないように、意識していきましょう。

 

大人も寝る前に絵本を。やさしい気持ちになる「絵本」は安眠を誘う

せっかくの「秋の夜長」を不眠の状態にしないためにも、寝る前の時間の過ごし方には気を配りたいものです。

この時間には1日の心身の疲れをほぐし、気持ちが穏やかになるような過ごし方、自分や他人、世界に対する感謝の気持ち、やさしい気持ちが湧いてくるような過ごし方をしていきましょう。

そのサポートとなるアイテムとして、私がお勧めしたいのが「絵本」です。

「絵本なんて子どもの読み物」と思う方は多いですが、近年では、大人が読んで癒される絵本、大人だからこそ共感できる絵本がたくさん出版されています。では、就寝前の読み物として、絵本はなぜ優れているのでしょう? 絵本の持つ主な効果として、次の2つが考えられます。

 

1.絵本には、こころの真ん中で共感できる物語があふれている

絵本を読みながら動くのは、「理性」よりも「共感」です。こころの真ん中で共感できる絵本は、読むことで温かい気持ちになることができます。すると気持ちが慰められ、安心した気持ちで眠りにつくことができます。

 

2.絵本の中の“ゆらぎ”のある淡い色彩の絵が、気持ちをやさしくする

絵本の多くに用いられるのは、淡い色彩の水彩絵具や色鉛筆を使った手描きの絵画です。こうした絵には“ゆらぎ”が感じられ、絵を眺めているだけでもしみじみと癒されます。そして、物語とマッチした夢のある絵がやさしい空想を膨らませてくれるでしょう。

 

就寝前におすすめの大人向きの安眠絵本、3冊

子どもたちは、寝る前に大人からお気に入りの絵本を読み聞かせてもらうことで、安心して眠りの世界に入っていくことができます。

そんな絵本の安眠効果を、ぜひ大人自身も取り入れてみませんか? 安眠を誘う本として私がお勧めしたいのは、次の3冊です。

 

『ちいさなあなたへ』(アリスン・マギー、他著 主婦の友社 2008年)

女性が母となり娘を育て、娘が巣立ち、母となった後の人生を振り返る絵本。親の側から、そして娘の側から、両者の視点で人生の深い味わいを感じることができ、しみじみと涙があふれます。

 

『ルピナスさん―小さなおばあさんの話』(バーバラ・クーニー、他著 ほるぷ出版 1987年)

「世の中を美しくするためにできること」というテーマで人生を生き、たくさんの旅と冒険を経験した女性が晩年にたどりついた最後のミッションとは? 人生を美しく生きる女性の物語が、深い感動を誘います。

 

『つみきのいえ』(加藤久仁生、他著 白泉社 2008年)

海の上の一軒家で、一人のんびりと暮らすおじいさんの物語。ある日、ふとした出来事から海の底に潜り、そこで見つけたものとは? 一人の男性が築いてきた長い人生から、人の一生の奥深さに触れることができます。

 

絵本の世界に共感すると心身がリラックスし、眠気が訪れる

やさしい気持ちになれる絵本、深い共感を誘う絵本を読みながら過ごすと、気持ちがゆったりと落ち着いていきます。

すると、1日の中で気づかぬうちにためていた苛立ちや不安、あせりなどが解放され、感情が浄化されていきます。

同時に、自然にゆっくりした呼吸になり、全身が真のリラックスへと導かれていきます。この感じを浸るうちにすーっと眠気が訪れ、自然とやさしい眠りに入っていくことができるでしょう

「秋の夜長」を絵本で楽しむ「読書の秋」。就寝前の新しい習慣として、ぜひこの秋から取り入れてみませんか?

 

photo:Getty Images

大美賀 直子

執筆

精神保健福祉士・産業カウンセラー・キャリアコンサルタント

大美賀 直子

早稲田大学教育学部を卒業後、出版社やIT関連企業に在籍し心身の健康等の編集の仕事に携わり、独立。メンタル領域専門のコラムニストとして、ストレスや心の健康、対人関係、モチベーション等に関する執筆活動、講演活動を行う。同時に心理カウンセラー、研修講師としても活動し、メンタルヘルス支援企業「(株)ハートセラピー」に所属。法人向け研修、労働者や大学生へのカウンセリングを行っている。雑誌・新聞等メディアへの出演も多く、著書多数。『長女はなぜ「母の呪文」を消せないのか』(さくら舎)、『なぜあの人の働き方は「強くて美しい」のか?』(明日香出版社)などの書籍を出版している。

(株)ハートセラピー

Site: http://www.heart-t.co.jp/

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