睡眠学研究レポート

メンタルヘルスケアの鍵はセロトニン!ストレスフリーの食事術

ストレスフルな現代社会と言われて久しいですが、最近メンタルヘルス(=心の健康)という言葉をよく耳にするようになりました。メンタルヘルスケア(=心の健康づくり)は身近な問題になっています。

「心の健康」は目に見えないので疎かにしがちですが、実は毎日の中でメンタルヘルスを高める生活習慣があります。

それは、質の良い睡眠をもたらし、心も身体も健やかに保つ「食事」。この「質の良い睡眠をもたらし、心と身体を健康にする食」を担う“ある物質”があります。今回は、メンタルフードマイスターの筆者が「メンタルヘルスと食」についてご紹介します。

 

今、メンタルヘルスが必要な背景

なぜ今、メンタルヘルスが必要なのでしょうか?厚生労働省が行った精神疾患のデータによると、うつ病などで医療機関を受診する患者数は平成8年で約43万人平成20年には約104万人と、この12年でおよそ2.5倍にも増加。うつ病や不安障害などのストレス性疾患にかかる人が急増しています。

さらに、これらのストレス性疾患を発症している年代が20代後半から40代にかけての働き盛りに多いと言われており、仕事を休職・復職・離職を繰り返す人が増加し、企業側からみても、貴重な労働力の損失となっています。過度のストレスによる心の不調が社会問題化している背景から、国も「メンタルヘルス」の重要性を認識。

2015年11月にストレスチェック制度の職場への導入義務化が発表されたことはご存じの方も多いでしょう。「自分は大丈夫」と、安心はできません。メンタルヘルスケアは他人事ではなく、誰にとっても必要なことなのです。

 

良い睡眠・心身の健康の要となる“ある物質”の役割とは?

メンタルヘルスを高めるために毎日の生活習慣の中で特に注目したい物質が、脳内で作られる神経伝達物質「セロトニン」です。

1950年代に発見され、誰の脳にも必ず存在する物質で別名「幸せホルモン」とも呼ばれています。主な働きは、「こころのバランス」をとること。つまりストレスに対して適切に対処し、精神を安定させてくれるのです。

セロトニンがきちんと分泌されている人は、心が安定しているため、ストレスがかかってもさらりと受け流し、ストレスが溜まりません。一方、セロトニン不足の人は、落ち込みやすいため、ストレスがかかるとその重圧に押しつぶされ、心の不調をきたし「うつ」状態に陥りがちになります。

ではなぜ、この物質が睡眠の質まで上げてくれるのでしょう?それは、セロトニンが夜になると安眠作用のある睡眠ホルモン「メラトニン」を分泌してくれるからです。

つまり、メラトニンの原料となるセロトニンが不足するとメラトニンの分泌が減り質の良い睡眠が出来なくなるのです。

セロトニンは心のバランスにも、睡眠にもどちらにも欠かせない物質なのです。

セロトニンを増やす生活習慣とは?

現代は、セロトニンを減らす生活習慣が増えています。例えば、1日中デスクワークでパソコンに向かっている、昼夜逆転生活で太陽の光を浴びないなどです。

その結果、寝付き・寝起きが悪くなり、イライラなど情緒不安定な症状が現れます。知らず知らずのうちにセロトニンは不足しています。セロトニンを意識的に補う習慣をぜひ持ちましょう。

セロトニンを増やすには、難しいことをしなくても大丈夫。次の2つがポイントです。

  • 太陽の光を浴びる
  • セロトニンの原料となる栄養素「トリプトファン」を含む食事を摂る

太陽の光を浴びる

セロトニン神経は目から入る太陽の光の刺激で働き始めます。太陽を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が止まり、代わりに覚醒を促すセロトニンの分泌が活発になります。

朝、太陽の光を浴びると、夜メラトニンが十分分泌されるように身体のシステムが働きます。「太陽の光を浴びるだけ?」と思われるかもしれませんが、太陽の光は効果絶大。以下のような好循環が期待できます。

朝の太陽がもたらす好循環

  • 朝、太陽の光を浴びる…睡眠ホルモン「メラトニン」分泌のタイマーがセットされる
  • ①の14~16時間後、メラトニン分泌が開始される…夜自然な眠気がやってきて質の良い睡眠が望める
  • 疲労回復し、睡眠・起床リズムがとりやすくなる
  • 活動的に過ごせ、日中のセロトニン分泌を増やす効果が期待できる
  • 生活全体のリズムが整いやすくなる

セロトニンの原料「トリプトファン」を摂る

必須アミノ酸の一種の「トリプトファン」は、体内ではほとんど合成されないため、食べ物から摂る必要があります。

トリプトファンが含まれる食品

・豆類
・大豆製品
・乳製品
・卵
・青魚
・鶏ささみ肉
・ナッツ類など

ただ気を付けて頂きたいことは、体内でセロトニンに変わるためにはトリプトファンだけでは不充分だということ。トリプトファンと一緒に、「ビタミンB6」と「炭水化物」の同時摂取が必要です。

・ビタミンB6…たんぱく質をアミノ酸に分解するのを助け、野菜・果物にも多く含まれている。特にニンニクに多い。
・炭水化物…脳内にトリプトファンを取り込むのを助ける

「トリプトファン」・「ビタミンB6」・「炭水化物」の3つの栄養素を手っ取り早く摂りたい時は、バナナがおすすめです。朝食を食べる時間がない人でも意識して食べてください。

さらにお米やパンを未精製のもの(玄米や胚芽米、ライ麦パンなど)にすると、ビタミンB6が同時にとれます。

薬やサプリメントに頼らない

なお、セロトニン不足とは逆にセロトニンの過剰分泌も悪影響を与えることがあります。薬やサプリメントに頼らずに普段の生活の中で適度に分泌を促す習慣を心がけましょう。

セロトニン分泌を促す習慣

  • 太陽の光を浴びるために就寝と起床時間をできるだけ一定にする
  • 体内でセロトニンに変化する食べ物を摂りいれながら3食バランスの良い食事をする
  • 血糖値を急激に上げない食べ方「ベジファースト」(野菜から食べる)
  • 適度な運動を心がける


これらの「心の健康」をアップさせる生活習慣を実践することで、セロトニンがきちんと分泌されるようになります。セロトニンが分泌されれば、メンタルヘルスが高まり、心のバランスも睡眠も、同時に整っていきます。

さいごに

定期的なメンタルヘルスセルフチェックも、自分の心の状態を知るツールのひとつとして活用されることをおすすめします。特に、まじめで責任感の強い人は、心や身体の不調を健康管理を怠った自分の責任にしてさらにメンタルヘルスを悪化させることが多いので注意が必要です。
5分でできる職場のストレスセルフチェック(厚生労働省)

メンタルケアもビジネスパーソンに必要なスキルの1つになりつつあります。毎日の生活の中で無理なくできるメンタルヘルスケアとして、セロトニンを増やす生活習慣をぜひ心がけてみて下さい。

photo:Thinkstock / Getty Images

飯田 恵美子

執筆

野菜ソムリエプロ

飯田 恵美子

214年に野菜ソムリエプロの資格を取得後、メンタルフードマイスター、ベジフルビューティーアドバイザー、アンチエイジングプランナー、江戸東京野菜コンシェルジュとして、幅広く野菜・果物の魅力を伝える活動を続けている。心も身体も健やかにする食を提案しながら、都内各地のマルシェで身体にやさしい新鮮野菜を販売し、美味しい食べ方なども伝えている。その他、野菜のPRイベントやレシピ開発、コラム執筆を手掛けている。

Site: https://ameblo.jp/emiida11058260

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