「忙しすぎて寝る時間がとれない!」と嘆くビジネスパーソンのみなさん、熟睡感は睡眠時間の長さによって決まると思い込んでいませんか?
睡眠に詳しい坪田聡先生によると、ぐっすり寝たという熟睡感を得たいのであれば、長く寝るのではなく、むしろ「睡眠時間を削るべき」だといいます。
熟睡感を高めたいなら、睡眠時間を削れ!?
睡眠で大事なのは、時間の長さよりも「いかに集中して眠るか」です。勉強や仕事と同じく、その「睡眠集中力」には限りがあるため、例え睡眠時間を短縮しても質が上がれば、熟睡感が得られる場合もあるそうです。
「睡眠は、入眠後すぐの約3時間前後が最も深く、その後の眠りはどんどん浅くなっていきます。
必要最低限の睡眠時間は確保する必要がありますが、睡眠時間が短くなれば、身体は自然と睡眠への集中力を高めようとするのです。
その結果、睡眠の質が上がり、目覚めた後のパフォーマンスによい影響が表れる、ということが明らかになっています」(坪田先生)
睡眠時間を短くすることで集中的に眠る――「睡眠時間制限法」と呼ばれるこの方法は、特に寝つきの悪さを感じたり、中途覚醒(寝ている途中で目覚める)してしまう人におすすめとのこと。
「まずは、布団に入っていても眠りに落ちていない時間を積極的に削っていきましょう。眠気を感じるまでに通常1時間かかる人は、布団に入る時間を1時間遅らせます。
布団に入った後、すぐに眠りにつくことができれば、睡眠が無駄に引き伸ばされず、集中して眠ることができるのです」(坪田先生)
自分に最適な睡眠時間を知る方法
そもそも自分に最適な睡眠時間は何時間なのでしょうか? それを知るには、まずは「睡眠サイクル」を理解することが重要なようです。
「睡眠サイクルは、一般的におよそ90分ごとに訪れるノンレム睡眠とレム睡眠の周期で構成されています。
その周期のうち、寝覚めがいいのはレム睡眠時と言われており、その時間を狙って起きれば理論上はスッキリ起きられることになります」(坪田先生)
眠り始めてからすぐに訪れるノンレム睡眠は段階を踏んで深い睡眠となります。その後、再び段階を経て浅い睡眠となり、レム睡眠へと移行します。その1周期がおよそ90分。
ただし、一般的に90分といわれる睡眠サイクルも人によって若干のズレがあるため、厳密にその倍数の時間に目覚ましをかけても、気持ちよく起きられるとは限らないそう。
「自分の睡眠サイクルを正確に把握するためには、日常的に睡眠時間のメモを取り、何時に寝て何時に起きたときが最も寝覚めが気持ちいいかデータを記録していく方法がおすすめです」(坪田先生)
「○時間寝なきゃ」というのは、実は思い込みかもしれません。「睡眠時間が短くなってしまった」と感じた日こそ、自分のコンディションをじっくり観察してみましょう。
いつもより調子がよかったら、思い切って睡眠時間そのものを見直してみてはいかがでしょうか?
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