あなたは眠るとき、何を着ていますか? 「帰宅後、ジャージやスウェットなどの部屋着に着替えたら、そのまま朝まで…」という人も多いかもしれません。
しかし、寝ているときに着ている衣服が、安眠の妨げになってしまう可能性もあるようです。睡眠に詳しい雨晴クリニックの坪田聡先生に、眠るときの服装について伺いました。
安眠を追求したいなら、選ぶべきはやっぱり「パジャマ」
「寝るときは、やはりパジャマなどの眠るために特化したナイトウエアに着替えるのがおすすめです」と坪田先生。その理由として、大きく以下の3点が挙げられるそうです。
①リラックスできる
「自律神経を交感神経から副交感神経にスムーズに移行させるためには、体を極力締め付けず、優しい肌触りで気持ちが安らぐ服装が適切です。また、寝ている間、私たちは寒い冬でも200cc以上の汗をかいています。汗をスムーズに吸収し、素早く蒸発させる吸水性・発汗性も重視すべき点です」(坪田先生)
②寝返りが打ちやすい
「私たちは通常、寝ている間に10~30回程度の寝返りを打っています。しかし、衣服の生地が分厚いとその障害になるほか、片側に寝返りを打ったまま布団を巻き込んでしまい、寝苦しい体勢となってしまう可能性もあり得ます。室温や寝床内温度(布団の中の温度)との兼ね合いもありますが、できるだけ薄手の生地を選ぶとよいでしょう」(坪田先生)
③気持ちの切り替えがスムーズになる
「寝つきをスムーズにするためには、気持ちの切り替えが重要。そのためには何らかの“入眠儀式”を取り入れるのが効果的です。帰宅後、ルームウエアに着替えてストレスをいったんリセットし、さらに寝る際にはナイトウエアに着替え、より深い安らぎを実感できるようにしましょう」(坪田先生)
実際に、パジャマ以外の衣服を着て寝ていた人がパジャマに変えたところ、寝つくまでの時間が短縮され、中途覚醒の回数も減った、という研究結果もあるそう。不眠の症状で困っている人は、「パジャマ」を試してみる価値はありそうです。
どんなパジャマを選ぶべき?
パジャマといっても、その種類はさまざまですが、どんなパジャマを選ぶべきなのでしょうか?
【素材】「着ていて自分がリラックスできるかを第一に考えましょう。その上で、通気性・吸水性・発汗性に優れているものを選びます。おすすめはコットンやシルク素材のもの。また、最近では化学繊維のパジャマでも非常に優れたものが多いので、自分に合ったものを探してみましょう」(坪田先生)
【デザイン】「生地が凸凹していると布団との摩擦の抵抗が大きくなり、寝返りが打ちづらくなってしまいます。薄手で、デザインも極力シンプルなものがおすすめです」(坪田先生)
【洗濯】「衛生面を考えると、洗濯は週に2回程度が望ましいでしょう。そのため、パジャマも1枚だけでなく何枚か用意しておくとよいでしょう」(坪田先生)
睡眠が心身の健康だけでなく美容・ダイエットにも関係していることは、ご存知の通りです。外出着1枚分のお金でこだわりのパジャマを手に入れれば、新しい服を買った以上の効果が得られてしまうかもしれません。
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