睡眠学研究レポート

食欲の秋に食べ過ぎるのはなぜ?|しっかり眠って生活習慣に注意!

「食欲の秋」といわれるように、秋にはおいしい食べ物を、ついつい食べ過ぎてしまうことはありませんか? 寒くなる前にエネルギーを蓄えようとするのは仕方ありませんが、食べ過ぎで体調不良にならないようにしましょう。ここでは、秋に食べ過ぎてしまう原因や、食べ過ぎを防ぐための方法をご紹介します。

 

秋になると食欲が増加するのはなぜ?

秋の食材

気温が下がってきた秋に食欲が増して、ついつい食べ過ぎてしまうのはなぜでしょうか。それには「気温が下がること」「日中の時間が短くなること」「夏バテが解消されること」の3つが影響しています。

 

気温が下がるため

私たち人間は、体温を一定に保とうとする「恒温動物」です。気温が下がると体から熱が奪われてしまうので、ほっておくと体温が下がってしまいます。2017年の東京の月別平均気温は、7月や8月は26~27度ありましたが、9月には22度台となり急に涼しくなりました。体温を保つためには、熱を作り出す必要があります。熱を作るには、エネルギー源が必要です。人間のエネルギー源は食事なので、秋になって気温が下がると食欲が増します。

 

日中の時間が短くなるため

日中の時間が短くなることも、食欲増進と関係しています。私たちは光を浴びると、「セロトニン」という物質が脳の中で増えます。セロトニンには、気持ちを安定させて目を覚ましておく働きのほかに、食欲を抑える働きもあります。一方、太陽が出ている日中の時間は、夏から秋にかけて短くなります。東京における日中の時間は、9月は8月に比べて1時間以上も短くなります。日光を浴びる時間が減るとセロトニンの量が減り、そのために食欲が抑えられずに食べ過ぎてしまいます。

 

夏バテが解消されるため

夏は室内と屋外の温度差が大きいため、自律神経が乱れて「夏バテ」になります。夏バテになると胃腸の働きが落ちるので、しっかりした食事ができなくなって、栄養が十分にとれなくなります。秋になって涼しくなると、体調が回復して食欲も戻ってきます。夏バテからのリバウンド効果と言えるものです。

 

体重増加を防ぐには?

体重計にのる男性

秋のはじめに体重が増えるのは、食欲が増えるせいだけではありません。じっとして動かないときに体で作られるエネルギーの量を「基礎代謝量」といいます。基礎代謝量には1年の間で周期的な変化があり、9月ごろが最も少なくなります。基礎代謝量が少ないと言うことは、食べ物からとったエネルギーが体にためられやすいと言うことです。

では、秋口の体重増加を防ぐには、どうしたらよいのでしょうか。

 

セロトニンを増やす

食欲をセーブしてくれるセロトニンを増やすことをお勧めします。セロトニンを増やすには、セロトニンの原料になるアミノ酸「トリプトファン」を十分にとる必要があります。特に女性は、トリプトファンを意識してとることをおすすめします。脳内でセロトニンを作る速度は、男性に比べて女性で遅いことがわかっているからです。トリプトファンが不足すると、セロトニンを作る速度が1/40になってしまうので注意してください。トリプトファンは牛乳や乳製品、豆や豆製品、肉類、バナナ、アボカドなどに多く含まれています

 

よく噛んで食べる

食事のときには、よくかむようにしましょう。よく噛んで食べると、食欲を抑える「ペプチドYY」や「グルカゴン様ペプチド-1」、「コレシストキニン」が増えます。また、摂食を促すホルモン「グレリン」が減るので、食欲をうまく抑えられます。1口当たり40 回かむと、1口当たり15回しかかまないときに比べて、エネルギー摂取量が12%も減ったという研究もあります。

 

グッスリ眠る

さらに、グッスリ眠ると食欲を抑えられます。睡眠時間が不足すると、満腹ホルモンの「レプチン」が減って、空腹ホルモンの「グレリン」が増えます。夜更かししているとおやつや夜食を食べたくなるのは、このホルモンの変化のためです。また、睡眠不足が続くと脳が「危機的状況だ」と思い込み、食べ物からとったエネルギーを運動で使わずに脂肪細胞にため込もうとします

 

セロトニンは睡眠と覚醒にも関係

朝のストレッチ

先に紹介したセロトニンは、睡眠や覚醒にも大いに関係します。トリプトファンから作られたセロトニンは、眠気を減らして覚醒度を上げる働きもあります。さらに、夜になるとセロトニンから、睡眠ホルモン「メラトニン」が作られます。メラトニンは、朝起きて明るい光を浴びてから14~16時間たつと、脳の中の量が増えます。そして、それから1~2時間すると眠くなってきます。つまり、起床してから15~18時間くらい後が、一番眠りやすいタイミングだということです。

セロトニンを増やすには、太陽の光を浴びることとリズミカルな運動、グルーミングが大切です。

 

セロトニンを増やす~太陽の光を浴びる~

朝起きたらすぐに、10分ほど太陽の光を浴びましょう。夜の間に鎮まっていたセロトニン神経が活発に動き出して、眠気が減ります。日中はなるべく明るいところで過ごしましょう。覚醒度が上がるとともに、夜はグッスリ眠れます。

 

セロトニンを増やす~リズミカルな運動~

リズミカルな運動には、ウォーキングやジョギング、水泳、フラダンス、ヨガ、日本舞踊、盆踊り、ゴルフやバットのスイングなどがあります。夜のはじめに運動をすると体温が一時的に上がり、その後に急激に下がって寝つきが良くなります

 

セロトニンを増やす~グルーミング~

グルーミングとは、動物たちが自分で、あるいはお互いに毛づくろいしあう行為のことです。グルーミングをすると、ストレスが緩和されます。グルーミングで心が癒やされると、セロトニンが増えることが分かっています。人間が行うグルーミングは、直接触れ合うことだけでなく、家族や親しい友人と会話したり食事したりすることも含まれます。

 

いろいろなものがおいしくなる秋ですが、ここで述べたことを参考に、食べ過ぎない体質に変わってみてください。

 

<参照>
Differences between males and females in rates of serotonin synthesis in human brain, Diksic M. et al (1997) Proc. Natl. Acad. Sci. (USA) 94 (10): 5308-5313
Improvement in chewing activity reduces energy intake in one meal and modulates plasma gut hormone concentrations in obese and lean young Chinese men, Li J, Zhang N, Hu L, Li Z, Li R, Li C, Wang S. (2011) Am J Clin Nutr 94: 709-716

坪田 聡

監修

医師・医学博士

坪田 聡

医師として睡眠障害の予防・治療に携わる一方で、睡眠改善に特化したビジネス・コーチとしても活躍中。「快適で健康な生活を送ろう」というコンセプトのもと、医学と行動計画の両面から睡眠の質を向上させるための指導や普及に尽力。総合情報サイトAll about 睡眠ガイド。 「睡眠専門医が教える! 一瞬で眠りにつく方法」(TJMOOK 宝島社)、「パワーナップ仮眠法」(フォレスト出版)他、監修・著書多数。
医療法人社団 明寿会 雨晴クリニック 副院長

Site: http://suiminguide.hatenablog.com/

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