耳栓は、物音で目覚めてしまう人や、パートナーのいびきに悩んでいる人にとって心強い味方です。そんな耳栓ですが、実は素材や形状によって遮音性やつけ心地が異なり、睡眠への影響も大きく変わります。
今回は、“耳栓マニア”として知られる遠藤諭さん(株式会社角川アスキー総合研究所 元『月刊アスキー』『東京おとなクラブ』編集長)に、自分に合う耳栓の選び方を伺い、フミナーズ編集部がオススメする耳栓を探してみました。
耳栓の役割

耳栓は周囲の音を遮断し、騒音や大音響から耳を守るために使われています。その遮音性の高さから、睡眠時に利用する人も多く、睡眠にも役立つアイテムです。ここでは耳栓が主に活躍する場面から耳栓の役割についてご紹介します。
睡眠時に周囲の雑音を遮断する
耳栓は寝室外の騒音やパートナーのいびき、歯ぎしりの音などの周囲の雑音を遮断し、スムーズな入眠を助けます。脳は睡眠中にも周囲の音を感じているため、音を遮断することでより深い眠りにつくことができます。
たとえば、新幹線などで仮眠をとっている際にも、無意識に走行音を感じ取ってしまい、眠りが浅くなることがありますが、耳栓を使用すると音を遮断できるので、脳の疲れが軽減されやすくなります。
大音量から耳を守る
人間の耳は、工事現場の作業音やライブハウスの大音響などを聞き続けると、鼓膜や内耳に負担がかかり、耳鳴りや聴力低下を起こすことがあります。
耳栓はこれらの予防法として有効です。工事現場用やライブ用の耳栓には、耳に負担のかかる音域のみ遮断し、話し声や楽器の音色など、必要な音はハッキリと伝える機能が備わっているものもあります。
飛行機での気圧変化による不快感を軽減する
飛行機に乗り、気圧の変化によって耳が痛くなったり、詰まったように感じたりする…。そんなときにも耳栓が有効です。耳栓の中には、気圧調整機能つきのものがあり、気圧の変化による不快感を軽減してくれます。
耳の中に水が入るのを防ぐ
耳の中に水が入るとなかなか抜けず、違和感がしばらく続くことがあります。耳に入った水は自然に蒸発するため、特に対策をしない人もいますが、水が耳に入る頻度が多いと「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」などの耳の疾患を引き起こすことがあります。
耳栓の種類

耳栓は形状によって大きく5種類に分けられます。ここではタイプごとの特徴をご紹介します。
フォームタイプ
スポンジ耳栓とも呼ばれる、円筒や円錐の形をしたタイプの耳栓です。ウレタンフォームや弾性発泡ポリマーといった、軽くて柔らかい素材を使用しています。
フォームタイプの特徴は、指先で転がすように潰して耳栓内部の空気を抜いてから装着すると、耳の中で反発するようにふくらみ、すぐに耳の穴にフィットするので、長時間の使用に向いています。
フランジタイプ(段々型耳栓)
フランジと呼ばれるヒレがついたプラグ型の耳栓です。複数のヒレが段状についているため、遮音性が高いのが特徴です。棒状の柄がついたものが多く、着脱しやすいのも利点のひとつです。
エラストマーと呼ばれるゴムやシリコンなどを素材に使用しており、高い耐久性と耐水性があるため、繰り返し使用するのに向いています。水中での使用も可能です。
シリコン(粘土)タイプ
粘土のような柔らかいシリコンを変形させ、耳の穴を覆うように使用するタイプです。耳の中に入れるタイプの耳栓とは異なり、圧迫感が少ないのが特徴です。その反面、取れやすいため激しい運動には向いていません。
耳への負担が少ないので、長時間の使用向きです。
マフタイプ
ヘッドホンのように耳全体を覆う形状の耳栓です。遮音性が高く、着脱も簡単にできます。耳の穴に入れるタイプの耳栓が苦手な方でも問題なく使用可能です。海外では銃を撃つときにも使用されています。
デジタルタイプ
ノイズキャンセリングと呼ばれる周囲の環境音を打ち消す機能を備えたタイプです。外部の音の波形と逆の波形の音を出し、騒音を相殺します。
ほかのタイプの耳栓と比べるとやや高価ですが、高い遮音性があり、さらにアナウンス放送などの必要な音は消さないため、さまざまな状況で使用できます。
睡眠時に使用する耳栓を選ぶときのポイント

睡眠のときに使用する耳栓は、遮音性とつけ心地が重要です。ここでは耳栓を選ぶ際に気をつけるポイントをご紹介します。
遮音性
音を遮る性能は耳栓の形状や素材によって大きく異なります。
どのタイプの耳栓でもパートナーのいびきや話し声程度の音量であれば、大部分は遮断できるでしょう。しかし、遮音性が高すぎると目覚ましの音など、必要な音も遮断してしまいます。そのため、自分に必要な遮音性を持つ耳栓を選ぶことが重要です。
つけ心地
どんなに音を遮断できても、耳栓を装着したときに違和感があると、眠りの妨げになってしまいます。
数種類の耳栓が入った「お試しセット」などが耳栓メーカーから販売されていますので、実際に使用してつけ心地を確かめましょう。
また、睡眠時に使う耳栓は、長時間の使用や寝返りを打つことを想定し、耳に負担がかかりにくいタイプを選びましょう。柔らかい素材でできているフォームタイプか、しっかりと耳に装着できるフランジタイプが向いています。
サイズが選べる耳栓3つ

ここでは遠藤諭さんに教えていただいた耳栓の選び方を参考に、フミナーズ編集部が、オススメの耳栓を探してみました。
どの商品も、自分の耳にフィットする耳栓を見つけられるように、サイズの異なる耳栓が詰め合わせになっていますので、まずはこのセットで試してみて、自分にぴったり合うものを選ぶと良いですね。
8タイプから好みの耳栓が選べるセット(フォームタイプ)
「MOLDEX 耳栓 8種セット プラケース付」
<ポイント>
形状や遮音性が少しずつ異なる8種類のフォームタイプの耳栓と専用プラケースのセット。8種類の耳栓を試せるので、好みの耳栓を見つけやすい商品です。
ノイズ低減フィルター内蔵、3タイプのサイズから選べるセット(フランジタイプ)
「PUAroom 耳栓 携帯ケース付き」
<ポイント>
ノイズを低減させるフィルターを内蔵した耳栓。音を遮断するのではなく、音圧を低減する構造を採用しており、高い遮音性を持ちながら必要な音は拾えます。耳の大きさに合わせ3種類のサイズが用意されています。
水洗い可能、3タイプから選べる耳栓セット(フランジタイプ)
「TheFitLife 耳栓 携帯ケース付き」
<ポイント>
長時間使っても耳が痛くなりにくいフランジタイプの耳栓。水洗いが可能なため、繰り返し使用することができます。S、M、Lの3つのサイズがセットとなっているため、耳のサイズに合わせて着用できます。ケース付きで持ち運びやすく、屋外での仮眠にも使用しやすいのが特徴です。
耳栓のメンテナンス方法

耳栓は耳の中に入れるため、清潔にしておく必要があります。繰り返し使用する場合は、定期的に手入れをすることが重要になります。
種類別、耳栓のメンテンナンス方法
耳栓は種類や商品、素材によって、メンテナンス方法が異なります。フォームタイプの耳栓は使い捨てを推奨されていますが、素材に弾性発泡ポリマーを用いているものは、洗うことで再度利用できるものがあります。
また、フランジタイプの耳栓のほとんどやシリコンタイプの耳栓の一部は、洗うことで繰り返し使用可能です。マフタイプやデジタルタイプの耳栓の大半は洗えませんので、こまめに拭くなどして、定期的にメンテナンスしましょう。
不衛生な耳栓を使ってしまうと外耳炎をはじめとする耳の病気になってしまう可能性もありますので、各商品のお手入れの仕方をしっかり確認し、守るようにしてください。
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